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<大会参加記>日本認知・行動療法学会第45回大会参加記(阿部祐也)

 日本認知・行動療法学会第45回大会は、2019年8月30 (金曜)から9月1日 (日曜)までの3日間、中京大学名古屋キャンパスにて開催され、自分は3日間全日程に参加させていただきました。私は学部4年生の時に、第44回大会にも参加させていただきました。その頃はまだ学会という場に不慣れで、終始緊張していたためか先生方の講演やワークショップなどについていくのがやっとでした。しかし、今年から大学院生になり去年とは違う新しい視点を持って当大会に参加することが出来たかなと思います。その中で様々なセッションに参加させていただき、多くのことを学ばせていただきました。参加させていただいたセッションに関して、拙い文章ではありますがご報告させていただきます。
 まず1日目には、三田村先生の「『エビデンス』と上手に付き合うための実践家のための基礎講習」というワークショップに参加させていただきました。このワークショップでは、参加者を研究寄りの人と実践家寄りの人という分け方をして、両者が混ざるようにディスカッションの時間を設けたりしていました。そのため、研究寄りの人の主張と実践家寄りの人の主張がすれ違っていたり、その主張の違いがどのようなところから生じているのかといったような議論がなされて、研究と実践の関係について考える非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。また、ワークショップの後半ではevidence-based medicine について三田村先生に丁寧に解説していただいて、エビデンスのある治療法を実践で使うこととはどういうことか、使う際にどのような難しさ・問題があるということを改めて考えさせられました。
 また、1日目の夜には、杉山先生の「行動分析の基礎と応用」というワークショップも受けさせていただきました。今まで本などを読んで行動分析がどのようなものかを学んでいたのですが、行動分析をする際に実際にどのような手順をとるのか、そもそもどこまで小さい行動を扱うのか等、今まで知らなかった視点や考え方があるのだということを知り驚きました。心理面接の際にセラピストがクライエントを補助するという行動がクライエントの自発性を低下させてしまうという視点や、セラピストはクライエントの行動にコントロールされているといった視点についてもわかりやすく丁寧に解説してくださり、行動分析の面白さを改めて実感すると同時に、これから臨床活動をしていくうえで重要な視点を学ばせていただき、とても勉強になりました。
 2日目はまずケーススタディに参加させていただきました。僕が参加させていただいたのは、小松先生の「怒りやフラッシュバックなどの問題を抱える男性への認知行動療法」という事例だったのですが、そこでも今まで自分がイメージしていたトラウマに対する心理療法とは異なるものが用いられており、自分の知識の少なさを改めて実感し、もっと勉強をしたいと思えるようになりました。検討会の初めは、クライエントが複数の問題を持っている事例であるため、介入すべき問題が複雑になっているのではと考え自分ではどのようなケースフォーミュレーションをし介入すべきなのか思いつくことが出来ませんでしたが、小松先生がクライエントの1つ1つの主訴に合わせた対応をされていたというお話を聞き、介入をする際の問題の整理の仕方や方針の立て方を学ばせていただきました。また、事例検討の中でTF-CBTに関するお話も出てきたのですが、TF-CBTはトラウマではなくトラウマによる問題行動の維持要因をターゲットにするというお話を聞いて、技法ごとに何を介入のターゲットにするかを明確にして臨床実践に臨むのかを理解できるように学ばなければと感じました。
 3日目は、別司先生・中本先生・福井先生・西澤先生・三田村先生のシンポジウム「司法領域支援の実際と押さえておくべき知識や心得」と、下山先生の教育講演「ケースフォーミュレーションの使い方、作り方」に参加させていただきました。シンポジウムでは、犯罪行動に関連する脳の部位とその機能のお話や、依存の問題を持つクライエントに対する条件反射制御法のお話、虐待する親の心理的評価とそれが裁判でどのように用いられるのかについて学ばせていただきました。自分が将来司法領域での活動も考えていたので、今回のお話で司法領域での臨床活動とそれに役立つ知識について知ることができ、今度自分がどのように心理学を学んでいくべきかの方針を持つことが出来ました。また個人的には、自身の子供を虐待で死なせてしまった母親の事例において、裁判をする際に考慮すべき心理評価の結果があるにも関わらず、それを裁判に生かすことが難しいという現状があるというお話がとても印象に残りました。下山先生の教育講演では、ケースフォームレーションの仕方について、非常にわかりやすく丁寧に解説していただきました。臨床実践ではクライエントは問題にかかわる様々な要素を持っているが、それらの要素がどのようにつながっていて問題を成り立たせているかを整理することが重要であるという視点は僕にとって非常に分かりやすく、どのような方針で要素を整理するべきかのイメージを持つことができ、今まで自分が感じていたケースフォームレーションに対する苦手意識が少し小さくなったように感じました。
 どのセッションも非常に内容が濃く、多くのことを学ばせていただきました。学会に参加することで多くの知識を得ることが出来ることはもちろん、それらの知識から今後自分がなりたい臨床家像を持つことにつながったり、自身の勉強の方針やモチベーションの増加につながる良い刺激になるなと感じました。また、自分がまだ学生であるということもあり、現場で活躍されている先生方のお話はどれも面白く、非常に学びの深い良い経験をさせていただきました。今後も当大会には積極的に参加し、さらなる学びにつなげていきたいと思います。最後になりますが、大会会長の坂井誠先生をはじめ、大会を準備、運営してくださった多くの実行委員会の皆様に心から感謝いたします。

阿部 祐也 (広島大学大学院教育学研究科心理学専攻心理臨床学系コース)