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5thACBTC報告書(川越杏梨)

 このたび,「The 5th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference(以下,ACBTC)」(南京)にて助成をして頂き,2015年5月16日から17日までの2日間,中国の南京において開催されました,ACBTCにおいて,研究発表を行わせて頂きましたのでご報告させていただきます。
 私は,ポスターセッションにおいて,「Effects of Interpretation Bias and Intimacy on Assertive Behavior in Junior High School Students」というタイトルの研究発表をさせて頂きました。この研究は,日本の青年期において,対人関係における適応促進や心理的ストレスの低減に対し重要な役割を果たすとされる,相手の要求を断るなどの主張行動に焦点をあて,さらに,その主張行動の実行プロセスに影響を与えるとされる,「予期不安」,「解釈バイアス」,「相手との親密性」,それぞれの関連について検討することを目的としておりました。具体的には,中学生に対し,表情に対する「解釈バイアス」を測定した後,実際の学校場面において相手の要求を断る場面の映像を複数提示し,視聴後の「予期不安」と「主張行動をとる程度」を測定いたしました。また,映像では,それぞれ場面ごとで親密性の操作を行ない,親密性が高くなる場面として「仲のいい友だち」,親密性が低くなる場面として,「積極的に話したことのないクラスメイト」の2種類を設定した上で映像を提示いたしました。その結果,相手の要求を断る場面において,親密性が高い相手に関しては,解釈バイアスが予期不安を介して主張行動に影響を与えており,親密性が低い相手に関しては,解釈バイアスが主張行動に直接影響していることが示されました。このことから,相手の要求を断る場面において,親密性が高い相手に関しては,仲が良いことでかえって相手との関係性を気にしてしまうために予期不安が生じ,その予期不安が主張行動に影響を与えてしまうと考えられました。一方で,親密性が低い相手に関しては,相手との関係性を比較的気にしないことから,予期不安が生じにくくなり,表情に対する解釈バイアスが直接主張行動に影響を与えることが示唆されました。
 発表当日は,多くの先生方が,私の研究発表に足を運んで下さり,非常に充実した時間を過ごすことができました。とくに,私の研究では,日本の青年期に特有である,不安などの要因が,主張行動へ及ぼす影響を検討したこともあり,他文化圏においての主張行動へも焦点をあて,それらへの影響性を国際的に比較検討するというご示唆をいただきました。また,実際に,公立校へ通う生徒に出演していただいた映像を使用した研究ということもあり,その映像の撮影までの方法や,提示の仕方などについてのご指摘をいただき,その応答を通して,自身の研究に対する考えを深めることもできたと感じております。これらの当日いただいたご指摘をもとに,今後も,自身の研究をさらに進めていきたいと思います。拙い英語ではありましたが,親身になって聞いて下さった先生方に,改めて感謝申し上げたいと思います。
 また,自身が参加させていただいたポスターセッション以外においても,多くの研究発表に参加させて頂きました。とくに,自身が興味をもつ子どもに関する研究テーマとして,キャンププログラムへの参加とうつ症状への関連を検討した口頭発表や,社交不安障害に関するエクスポージャーの口頭発表へ参加させていただき,さまざまな研究の最新知見を得ることができました。
今回のACBTCでは,自身の研究を発表し,非常に多くの先生方から今後の研究につながるご示唆いただくことができたと同時に,さまざまな研究テーマの最新知見にも多く触れることができ,非常に充実した時間を過ごすことができたと感じております。このたび得られた経験をもとに,今後も研究活動を継続していきたいと考えております。このたびは,「The 5th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference(以下,ACBTC)」(南京)にて助成をして頂き,誠にありがとうございました。

早稲田大学大学院 人間科学研究科 修士課程2年
川越 杏梨