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The 5th ACBTCに参加して

 このたび,「第5回アジア認知行動療法会議への助成」による助成をしていただき,2015年5月15日から17日までの3日間,中国の南京において開催された第5回アジア認知行動療法会議において,研究発表をさせていただきましたのでご報告させていただきます。 私は,オーラルセッションである,「CBT related Basic researches」において「Belief Bias predicts Dysfunctional Beliefs related to Social Anxiety over Time」というタイトルの研究発表をさせていただきました。この研究は,社交不安の認知モデルにおける中核的な変数である「非機能的な信念」を維持する情報処理プロセスを検討することを目的としておりました。具体的には,元々有していた信念を確証するように作用する推論の傾向である,「信念バイアス」の程度が,非機能的な信念の経時的な維持を予測するか否かを縦断的なデザインを用いて検討しました。その結果として,社交不安に関連する内容に限定されない,全般的な信念バイアスの程度が非機能的な信念の維持を経時的に予測することが明らかになりました。この知見は,従来横断的なデザインによってしか検討されてこなかった信念バイアスと不安の維持の関係に関する知見を補い,より確からしいものとするという意義を有していると考えています。
 当日の発表では,当該セッションの中の1人目の発表者として発表させていただきました。初めての海外での口頭発表で,終始不安を感じつつの発表ではありましたが,多くの先生方が私の研究発表に足を運んで下さり,多くの質問や研究内容についてのご示唆を下さいました。一方で,発表内容が思うように伝わっていなかったと感じる部分がいくつかあり,英語による発表の難しさを痛感する機会にもなりました。今後,語学力を高めていくことと並行して,分かりやすく内容を図示する,可能な限り短い言葉でまとめられるようにするなど,海外の方にも伝わりやすいプレゼンテーションのスキルを身につけていきたいと感じました。
 また,自らが発表を行なったセッション以外においても,講演やシンポジウムなどへの参加を通し,学びを深めることができました。特に印象に残っているのは,“Psychotherapy for PTSD: Treating Symptoms, Promoting Resilience“というタイトルのSchnyder教授による招待講演でした。内容としては,認知処理療法(Cognitive Processing Therapy)や,短期折衷的心理療法(Brief Eclectic Psychotherapy)といった比較的新しいアプローチのエビデンスについてご紹介いただくとともに, PTSDの発症や維持の個人差を説明する要因としての,生理的基盤やストレスコーピングの多様性をも含む包括的なストレスからの回復力をさす「レジリエンス」の重要性についてお話ししていただきました。発表が始まって1枚目のスライドが東日本大震災の被害の光景で,日本だけでなく世界的にも大きなインパクトをもった災害であることを改めて実感することとなりました。
さらに,私は現在ギャンブル障害の研究に共同研究者として携わっておりますが,セッションの合間に当該領域の権威である,Oei教授と短時間ではありましたがお話しすることができました。初めてお話するにも関わらず,非常に気さくに関わって下さり,とても楽しい一時を過ごすことができました。
 今回の大会で得た経験を活かし,今後も継続的に研究活動に取り組んでいきたいと考えております。このたびは,「第5回アジア認知行動療法会議への助成」による助成をして頂き,誠にありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。

早稲田大学大学院人間科学研究科 博士後期課程1年
前田駿太