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国際学会報告 第5回 アジア認知行動療法学会(The 5th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference)の参加報告

 第5回 アジア認知行動療法学会(The 5th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference)が2015年5月15~17日にかけて中国の南京で行われた。私は,この国際学会に参加して「The replication of the group cognitive behavior therapy in a nurse's burnout and intention to resign」というテーマで,私が主に認知行動療法を実践している看護師のバーンアウトや離職の意思に焦点を当てた介入の追試験を行った内容をポスター発表した。
今日の世界は,グローバル・エイジング(世界的高齢化)という歴史的な人口革命の入口に立たされている。特に日本における高齢化の特徴は、欧米先進諸国に比較して高齢化の進行速度が速いことが特徴である。高齢化が進む我が国にとって,高齢者の健康管理やケアを実践する看護師の存在が重要であることは言うまでもないことである。しかしながら,我が国において,看護師不足が言われており,その中で,看護師の離職問題は,大きな社会問題であると言わざるをえない。そのうえ,メンタルヘルス不調を理由に,休職する看護師が増加をしている。特に,20代の臨床経験年数3年目の看護師に顕著にみられる傾向がある。
このような社会背景を受けて,私は,広島大学大学院保健学研究科博士後期課程で,看護師のバーンアウトや離職の意思低減のための集団認知行動療法プログラムを作成し,臨床経験年数3年目の看護師に介入し,その有効性を確認した。その結果,不合理な信念の「無力感」が有意に低下し,自動思考の「肯定的思考」が向上し,バーンアウトの「情緒的消耗感」と離職の意思の「看護師を辞めたい」が有意に低下した。
本研究は,博士課程で作成した,看護師のバーンアウトや離職の意思低減のための集団認知行動療法プログラムの追試験を行った。今回も,プログラムの内容は同じで,研究対象者は,臨床経験年数3年目は同様であるが,異なる集団に認知行動療法を実践した。その結果,不合理な信念の「無力感」が有意に低下し,バーンアウトの「情緒的消耗感」と離職の意思の「看護師を辞めたい」が有意に低下した。つまり,認知行動療法は,看護師のバーンアウトや離職の意思に効果があることが示唆され,今回の,第5回 アジア認知行動療法学会でその成果を発表した。
今回,第5回 アジア認知行動療法学会に参加して,中国における急性期病院に勤務する看護師のうつ病などのメンタルヘルスに対して,認知行動療法を実践報告されたケースを聴講した。そこで,中国の臨床心理士と看護師のメンタルヘルスについて,意見交換する場を設けることが出来た。中国の看護師も同様に多忙であり,メンタルヘルスの不調を訴えるケースが多くあり,病院として問題であると訴えがあった。今回の,私の研究内容を紹介しながら,日本の現状を伝え,他国との情報共有をする場となった。
また,私が実践している認知行動療法は,グループでの認知行動療法であるため,Tian Po Oei博士の「Group CBT : Past, present and future」は私の研究・実践に大変参考になる発表であった。特に,「Circular Process model」や「Group Entitativity Measur- Group Psychotherapy (GEM-GP)はとても参考になる情報提供であった。今後,看護師のバーンアウトや離職の意思の低減のための集団認知行動療法プログラムにも取り入れていきたいと思う。
このような,国際的な意見交換を行ったり,諸外国の認知行動療法の取り組みを聴講することで,世界の現状把握に役立つと考えられる。さらに,このような取り組みを行うことで,世界中の看護師のメンタルヘルス向上にも繋がると考えられる。そのことが,グローバル・エイジング(世界的高齢化)がすすむ世界における看護師のケア質向上につながることは言うまでもないことである。
今後も,積極的に国際学会に参加し,世界の臨床心理士と情報共有しながら,我が国のみならず,グローバルヘルス向上に貢献していきたいと考える。

兵庫大学健康科学部
大植 崇