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第8回WCBCT報告書

 この度, 日本認知・行動療法学会により研究発表助成金をいただき, 2016年6月22日から25日の8th World Congress of Behavioral and Cognitive Therapies (WCBCT) に参加させていただきました。WCBCTは3年に一度開かれる行動療法・認知療法の国際学会です。大会前日の1日Work Shopから始まり, Symposium, Oral presentation, Keynote presentation, Poster presentationまで様々な形式での発表が行われます。
 出席したプログラムの中からいくつかの印象に残っているものを紹介したいと思います。まず, 1日目はAllison HarveyによるWorkshopに初参加しました。”A Transdiagnostic Approach to Treating Sleep Problems in Clinical Practice” というタイトルで睡眠障害に対する診断横断的治療に関するプログラムの紹介でした。不安、抑うつ、ストレスに関連する様々な睡眠障害に幅広く対応できるプログラム構成が用意されていました。2日目は, Aaron Beckのセッションに参加しました。残念ながら, 本人はビデオレターでの参加になりましたが, Beckの議題について, 世界的に著名な研究者がCBTの適応可能性や普及のための方法を議論していました。その後は, “Understanding, Screening and Treatment of Anger in PTSD” や ”Transdiagnostic Considerations in the Treatment and Prevention of Youth Mental Health” に出席しました。怒りの問題は海外でも軽視されていることが問題となっていたり, 子どもの診断横断的な予防や治療の観点から, 診断基準・共通のリスク要因・ユニバーサル介入・発達障害などの様々な切り口からの発表を見ました。3日目に印象に残っているものは ”Intervention for Transdiagnostic Process in Emotional Disorders” です。このシンポジウムでは, 認知的脆弱性, セルフコンパッション, 行動活性化, 心配, 注意訓練, マインドフルネスなど様々な角度から多くの症状に共通するリスクファクターと介入による変化について診断横断的な観点から紹介がなされていました。4日目は, “Broadening the Research Areas on Social Anxiety Disorder” に参加しました。SADに関してセルフ・ディスクレパンシー, 認知バイアス, 認知的再評価と脳の関連など様々な観点から議論がなされました。続いて, “Innovative Applications of Behavioral and Cognitive Therapies in Educational Settings” に参加しました。ポジティブ・ペアレンティング・プログラム (Triple P) の学校現場での応用, 音楽を用いたエモーションレギュレーション, 全寮制の学校のCBTの応用などが議論されました。
 自身の発表においてはPoster presentationにおいて, “Cross-sectional and longitudinal effects of social skills on depressive and anxiety symptoms in community adolescents” というタイトルの発表を行いました。社会的スキルの中でも, 引っ込み思案行動などの回避行動が不安や抑うつを維持・悪化させる可能性についての発表でした。今回は昨年のChicagoでのABCTに続き, 2回目の国際学会発表でした。昨年度は, 自分自身の研究内容を英語で説明することで精一杯でした。一方, 今回のWCBCTでの発表では, 質問に対する自らの意見を述べたり, 質問を返したりすることができ, すこしではありますが自分の成長を感じることが出来ました。特に, 相手の話の内容だけではなく, その意図を理解しようと努めることで会話の精度が向上することが感じられました。コミュニケーションの際の重要なスキルは, 日本語でも英語でも同じ部分があると感じました。
 WBCBTは, 2019年にドイツのベルリン, 2022年には韓国で開かれます。自らの研究の質と英語での発信力を高めて, 今後のWCBCTに参加できるように日々の努力を重ねていきたいと感じました。最後になりましたが, このような貴重な機会を与えてくださった関係者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。

同志社大学大学院心理学研究科 博士(前期)課程
岸田 広平