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日本認知・行動療法学会 第8回世界認知行動療法学会助成金 使用報告書

下記のとおり助成金の使用報告をいたします。

 この度は、8th World Congress of Behavioural and Cognitive Therapies (第8回世界認知行動療法学会) への参加にあたりまして、日本認知・行動療法学会より支援をいただきましたことを、心より厚く感謝申し上げます。WCBCTでの活動、自身の研究発表を含む、参加により得られた成果などについて報告いたします。

【活動内容】

 報告者らは、2016年6月22日から25日にかけて、オーストラリアのメルボルンで開催された第8回世界認知行動療法学会に参加しました。23日には、“Cognitive Behavioral Treatment Outcome for Obsessive-Compulsive Disorder with and without Autism Spectrum Disorder”という演題でシンポジウム話題提供を行い、25日には、“Clinical Predictors of Response to Cognitive Behavioral Treatment for Obsessive-Compulsive Disorder with and without Autism Spectrum Disorder”という演題で口頭発表を行いました。学会期間中は、初日にプレ・ワークショップが開催され、翌日から3日間に渡って基調講演、ラウンドテーブル、シンポジウム、ポスター発表などが行われました。

【成 果】

1. 報告者らの研究発表
 23日に発表を行ったシンポジウムでは、「自閉スペクトラム症を伴う強迫症患者に対する認知行動療法」をテーマに、千葉大学中川彰子教授、千葉大学大島郁葉助教、北海道医療大学金澤潤一郎講師とともに話題提供を行いました。本シンポジウムでは、Karolinska研究所からDr. Nora Choque-Olssonを指定討論に招き、自閉スペクトラム症を伴う場合に、いかに創意工夫して認知行動療法を実施していくべきか、活発な議論が行われました。
 25日の口頭発表では、他の文化圏の研究者とともに、強迫症をテーマに研究発表を行いました。最終日であったためか、参加者が少なく残念ではありましたが、少人数で濃密なディスカッションを行うことができました。報告者の発表は、論文化にいたっていない予備的な研究報告でしたが、論文化にあたり報告すべき点や考察の視点など、フロアと貴重な意見交換を行い、今後の方針を定める上でよい機会となりました。

2. 参加した研究発表
 数多くのプログラムが開催され、興味のある内容が同一の時間帯に開催されたため、どのプログラムに参加をするか迷う場面が多くありました。報告者は、強迫症とためこみ症に関するプログラムに積極的に参加しました。特に、24日のMaster Clinician Sessionが印象に残っています。Australian National UniversityのDr. Kyriosが“The Self in Cognitive Behaviour Therapy”というテーマで、認知行動療法において“Self”とそれに関連する早期スキーマや愛着がいかに扱われてきたかについて、強迫症を中心に講演をされました。報告者らの研究テーマでもある発達障害を基盤に有する精神疾患においても、幼少期からの愛着形成や早期不適応スキーマの存在を、認知行動療法の中でどう扱っていくのかが議論されています。幼少期の経験が現在の認知や行動に一定の影響を及ぼしていること、その関連性と“Self”に対する気づきや理解を深めていただくことが治療的効果をもたらすことを再確認しました。今後の臨床活動と研究を進めていく上で、新たな視点を得ることができました。今後は、強迫症やためこみ症をはじめとした強迫関連症に対する認知行動療法の開発やその効果検証のみならず、幼少期からの成長過程におけるリスクファクターの同定や地域社会における実態調査など、予防を意識した研究にも着手していきたいと思っています。
 ポスターセッションでは、昨年度の国際学会で意見交換をしたアメリカの研究者数人とも再会し、お互いの研究の進捗状況や今大会で印象に残ったプレゼンテーションなどについて意見交換をする機会がありました。国際的に活躍している研究者と接することで、世界の強迫症関連領域の研究動向を知ることができ、今後の研究に対するアイディアを得ることができたのも収穫でした。

 国際学会に参加をすることは、研究成果の発表はもちろんのこと、各国の研究者との交流を深める貴重な機会にもなります。今回、日本認知・行動療法学会から助成金の支援を受けることで、支援を受けているという自覚をもって、学会参加することができました。本助成金の運営に携わっておられるみなさまと日本認知・行動療法学会関係者のみなさまに、心より感謝申し上げます。最後になりましたが、今回の発表にあたり、多くの方に支えていただきました。ご指導いただきました先生方や研究室のみなさんに心より感謝申し上げます。

大阪大学大学院
連合小児発達学研究科博士課程2年
土屋垣内 晶