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「仙台認知行動療法セミナー2016」開催に関するご挨拶

一般社団法人日本認知・行動療法学会
理事長 坂井 誠
一般社団法人日本認知・行動療法学会
企画委員長 金井 嘉宏

 近年、医療、教育、福祉、産業、司法といったさまざまな領域において、メンタルヘルスの重要性が認識されています。それとともに、客観的なデータに基づいて短期間に確実な効果をあげる認知行動療法(行動療法、認知療法を含む科学的心理療法)への注目が日増しに高まっています。認知行動療法はここ数年、うつ病や不安症に対する効果的な心理療法としてたびたび報道番組などでも取り上げられ、一般の期待も高まっています。一方、最大限の効果を得るためには、正しい理解と適正な使用をさらに推進していくことが必要です。

 日本認知・行動療法学会は、平成26年4月に一般社団法人化されました。本学会は認知行動療法の啓発を重要な使命のひとつと考えており、大会時には主として学会員を対象とした数多くの(20講座を超える)ワークショップを開催しています。これらのワークショップは非学会員の方々もご参加いただくことができますが、やや専門的で内容も多岐にわたることから、初心者の方々が短時間で認知行動療法の全体像を学ぶことはやや難しいという側面がございました。そこで、2012年から一般向けのワークショップを開始いたしました。これまでは主に東京で開催されてきましたが、このたび、東北・仙台ではじめてセミナーを開催することになりました。2015年10月に仙台で開催された学会の年次大会(第41回)に引き続き、東北で認知行動療法を普及・発展させ、認知行動療法のサービスを受けられる機会を増やすための試みです。

 今回は、認知行動療法の基礎、医療、教育関連の講座を4つご用意いたしました。ご関心に応じて受講していただくことができます。基礎領域では基本技法を実際の生活・臨床場面で活かすコツ、医療関連では不安やうつに対する統一プロトコル、教育関連では不登校と暴力行為について、それぞれの分野の専門家がわかりやすく話しを進めます。「認知行動療法の勉強ははじめて」という方も、ぜひふるってご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。

お申し込み・詳細はこちらから

ワークショップ開催概要
午前の部 10:00-12:00

ホール4A(定員114名)

不安やうつに対する診断横断的な治療のための認知行動療法の統一プロトコル

伊藤正哉(国立精神・神経医療研究センター)

 本セミナーでは、ボストン大学不安関連障害センターのデイビッド・バーロウ博士らが開発した認知行動療法の統一プロトコル(Unified Protocol; UP)を紹介します。この認知行動療法はうつ病や不安症などを、感情調整の困難を特徴とするemotional disorderとして捉え、いろいろな認知行動療法プロトコルで用いられている技法や原則を抽出し、ひとつのプロトコルに統一しています。そのため、UPによって幅広い精神疾患を治療できると想定して作られています。セミナーでは、UPが基づいている診断横断的な(さまざまな精神疾患に共通した)精神病理の捉え方をお伝えした上で、UPの治療の概要を紹介したいと思います。また、UPの治療で使われる介入法を実際にロールプレイして体験しながら練習する機会を設けたいと思います。

ホール4B(定員123名)

不登校をふせぐ・明るくする・活発にするための認知行動療法:“不登校リスク”を意識した効果的な支援介入をめざして

神村栄一(新潟大学)

 2013年からの小中児童生徒の不登校の増加が、話題になっております。いわゆる「不登校法案」をめぐる議論にも関心が高まっております。「学校ぎらい」「集団不適応」のトラブルに、認知行動療法ではどう理解・分析しどうかかわっていくのか、紹介することをねらいとします。不登校の背後にはしばしば、子どもの不安症や社交(社会)的スキル不足、気分や感情、嫌悪な感覚の調整困難、自尊感情の低下がかかわっております。また、事例の支援はもちろん、未然防止のために、家庭で保護者に望まれる対応、生活習慣の変容や再登校、行動活性化にむけた段階的支援も重要となります。これらにおいても、認知行動療法の発想と技法を活かす余地があります。教育現場の実践にとりくんでこられたが、認知行動療法独特の理論や用語に親しみはないという方々にも理解いただきやすい内容とする予定です。なお講師は、2017年9月末に新潟市で開催される本学会学術大会の準備を担当しております。

午後の部 13:00-15:00

ホール4A(定員114名)

認知行動療法の基本技法を実践場面で活かすコツ

金井嘉宏(東北学院大学)

 認知行動療法(CBT)というと,「ワークシートを使う方法」「ネガティブ思考に代わる“新たな認知を考える”方法」と受け取られる傾向にあります。これらはある部分では間違っていませんが,ワークシートを使う際の留意点や新たな認知をみつけるまでのプロセスを十分に理解できていないと,「ワークシートは記入したけど,その後,どのように進めたらいいかわからない」「新たな認知をみつけるときに,援助する側とされる側でディスカッションになってしまう」といったことにもつながり,「認知行動療法って,エビデンスがあって有効って聞くけど,うまくいかない」ということになってしまいます。

 また,CBTの中心的な技法であるエクスポージャー(曝露法)は,実施することをためらわれることも多いのですが,丁寧に計画して実施すると,非常に有効な方法です。エクスポージャーを通して,思い込んでいた後ろ向きな予測とは異なる現実の情報が手に入り,新たな認知もみつかります。

 本講座では,ワークシートの背景にあるCBTにおける問題の理解の仕方を身につけ,改善につなげるコツや,新たな認知をみつけて生活しやすくなるための工夫を具体例をあげながら解説します。

ホール4B(定員123名)

学校での暴力行為を防ぐための認知行動療法:暴力行為が生じにくい相互作用を考える」

杉山雅彦(福島学院大学)

 近年、学校場面での生徒の粗暴な行為あるいは暴力行為の増加が、問題として注目を集めるようになってきました。学校で器物破損が増加し、教師への粗暴行為も報告されています。また、いじめに関連する暴力行為は、近年社会問題として取り上げられることが多くなってきました。勿論様々な対応が試みられてきています。多くは暴力を振るった生徒に関する指導の形で行われてきましたが、必ずしも思ったような効果は上がってきてはいませんし、悪化するケースも報告されています。

 本講座では、社会的相互作用を中心として暴力行為の認知行動論的な分析を試み、そういった問題がなぜ生起するのか(発生要因)そしてどのように維持されるのか(維持要因)を検討します。その分析に基づいて、集団内で暴力行為が強化されない、あるいは社会的な接近行動が強化される条件を考え、改善の方法を検討します。同時に実際のケースも提示し、検討を加えていきたいと考えています。


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