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第7回 WCBCT 報告書

 この度,日本行動療法学会より研究発表助成をいただき,2013年7月22-25日の期間に,南米はペルーで開催されました7th World Congress of Behavioral & Cognitive Therapiesに参加させていただきましたので,ここに報告いたします。

 私は,Poster sessionにおいて,”Influence of Cognitive Behavioral Factors on Depressive Symptoms in Children with Autistic Features”というタイトルの研究発表を行ってまいりました。本研究では,自閉症スペクトラムの特徴を比較的強くもつ生徒とそうでない生徒を比較し,彼らが示す抑うつ症状に対する認知的要因(本研究では自動思考)および行動的要因(本研究ではコーピング)の影響性の違いについて検討した結果を報告しました。私の発表は最終日の時間ではありましたが,何人かの学校臨床を専門とする臨床家や発達障がいに関する研究を行っている研究者と話をする機会が得られました。そのなかで,「日本人サンプルと,欧米地域のサンプルの違いはなにか」といった議論や,「対象が自閉症スペクトラムというベースを持つ場合に,本研究で取り上げたような認知的スキルや行動的スキルの獲得および変容に際して,どのような工夫があり得るのか」といった議論が展開し,私も拙い英語ながら,自分の意見を述べたりしていました。相手の話の聞き取りにおいても自身の意見の表現においても,悔しい思いをしていましたが,研究や臨床の着眼点は,そう大きくは違わないということもわかり,私自身とても刺激を受けてまいりました。また,余談ではありますが,名刺(単に漢字で名前や所属が書かれている)がとても人気で,名刺だけを持っていく方もいましたが,それがコミュニケーションのツールとなり,異文化コミュニケーションの醍醐味も味わうことができました。

 その他,自身の興味のままに,“Emerging contributions of cognitive bias modification (CBM) to health psychology”や“Attachment focused research on cognitive behavioural therapy and beyond”といったシンポジウムにも参加してきました。前者のシンポジウムには,CBMの考え方や手続きを,私が現在フィールドとしている臨床現場でどのように活かしていけるか,そのヒントとなるような話が聞けたらと期待をして参加してきました。内容としては,臨床サンプルを対象とした実験的研究の結果に関する発表が主であったため,結果として私にとっては外れでしたが,最新の研究知見を自分の臨床フィールドでどのように活かしていけるかについてあらためて自身のなかで考える機会となりました。後者のシンポジウムには,愛着(アタッチメント)という構成概念を,どのように扱うのかについて興味があり,参加してきました。ボウルビィの伝統的な愛着理論の紹介に始まり,早期の愛着関係が,自己,他者,世界に対するスキーマを形成し,それが治療への従事に影響することが説明されており,治療効果(本シンポジウムでは,治療者との治療への従事,ドロップアウト)の個人差を,早期の愛着関係によって形成されたスキーマから説明しようと試みている内容でした。形成されたスキーマを「愛着(アタッチメント)」で説明する必然性について,もう少し説明がほしかったところですが,治療の効果の個人差変数について,その個人差変数と,治療で扱われるプロセス変数や最終的なアウトカム変数との関連を明らかにし,その個人差に応じた支援を検討することで,より効果的な支援の提案をするという考え方は,私の研究とも根本的な考え方とも通じることがわかりました。

 短い大会期間ではありましたが,とても有益な体験をさせていただきました。今後とも,自身の研究や臨床について研鑚を積むとともに,発信力を身につけてまいりたいと思います。

 最後になりましたが,このような貴重な機会を与えてくださった関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。

早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程
蓑﨑浩史