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日本認知・行動療法学会第48回大会 ダイバーシティ推進研究ポスター賞

日本認知・行動療法学会第48回大会では,応募されたポスター発表の中から,ダイバーシティ推進に優れたものに対して,ダイバーシティ推進研究ポスター賞(金賞、銀賞、銅賞)を授与しました。

2022年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞

金賞(1位) P1-56
「成人期男女の自閉特性に関する性差:マインドフルネス・社会的カモフラージュ行動・社交不安からの検討」
○管 思清 1,2,3)、大島 郁葉 3)、清水 栄司 3,5)、富田 望 4)、高橋 徹 4)、本郷 美奈子 3)、熊野 宏昭 4)
1)早稲田大学大学院人間科学研究科
2)日本学術振興会特別研究員 DC
3)千葉大学子どものこころ発達教育研究センター
4)早稲田大学人間科学学術院
5)千葉大学大学院医学研究

2022年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞金賞受賞コメント(管思清)

 この度は、2022年度のJABCTダイバーシティ推進研究ポスター発表賞の金賞を賜り、誠にありがとうございます。ご指導いただいた共同研究の先生方、研究にご協力いただいた皆様、選考いただきました先生方に、心より感謝申し上げます。

 本研究はニューロダイバーシティの観点から、成人期における自閉特性によってマインドフルネス・ 社会的カモフラジュー行動・社交不安における男女差を検討しました。

 その結果、自閉特性が高い女性は男性と比べ、湧き上がった思考や感情に対して価値判断をしないNonjudgingというマインドフルネスのスキルがより低く、自閉特性による振る舞いの好みを抑制して定型発達者が規定された集団規範に合わせる同化という社会的カモフラジュー行動が生起しやすく、社交不安症状にもより高くなることが示唆されました。

 本研究によって、成人期における自閉特性に対する男女別の視点から、メンタルヘルスの理解と支援のための有益な知見が得られたと考えられます。

 今回の受賞を励みに、自閉特性を始めとした神経多様性を隠すための社会的カモフラージュを必要としないダイバーシティ社会の実現に貢献できるよう、研究と臨床の両面から精進して参りたいと思います。

銀賞(2位) P1-86
「ダイバーシティを尊重した睡眠衛生ツールの開発」
○新川 瑶子 1,2)、井上 真里 1)、大井 瞳 1)、浅沼 比奈子 1)、宮崎 友里 1,3)、中島 俊 1)、野口 晃菜 4)、
野間 紘久 1)、宋 龍平 5)、吉田 伸 6)、堀越 健 7)、家 研也 8)、加藤 大祐 9)、久我 弘典 1)
1)国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
2)医療法人社団 Nobisuko 半蔵門のびすここどもクリニック
3)千葉市療育センター療育相談所
4)一般社団法人 UNIVA
5)地方独立行政法人岡山県精神科医療センター
6)医療法人博愛会頴田病院
7)医療法人社団家族の森多摩ファミリークリニック
8)学校法人聖マリアンナ医科大学
9)国立長寿医療研究センター

2022年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞銀賞受賞コメント(新川瑶子)

 この度は、2022年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター発表銀賞を賜り、誠にありがとうございます。ご指導いただいた先生方、研究に協力いただいた先生方、選考委員会の先生方に、心より感謝申し上げます。

 今回受賞した研究では、日本プライマリ・ケア連合学会と共同で、睡眠に悩む誰しもがマテリアルを公正に利用できるために、ダイバーシティを尊重した睡眠衛生ツールを開発しました。

 本研究では、睡眠衛生法の内容を検討し8つの項目に絞りました。また、多様性尊重のガイドラインやカラーユニバーサルデザインに基づき、共同研究者の先生方とともに、デザインの開発を行いました。今回開発した睡眠衛生ツールにより、睡眠衛生の遵守が個人の問題に帰属されるのではなく、社会全体の取り組みとして捉え直していく一助になると考えられます。

 今回の受賞は、本研究に関して筆頭で進めております井上真里先生、共同研究者の先生方や、この研究に協力いただいた沢山の先生方をはじめとした皆様の賜物です。私自身、今回の身に余る栄誉を励みに、臨床実践や研究を今後も精進してまいります。多くの方に心より感謝申し上げます。

銅賞(3位)  P2-39
大植崇
兵庫大学看護学部看護学科
「大学生を対象としたダイバーシティ促進のための認知行動モデルの検討」

2022年度ダイバーシティ推進研究ポスター賞銅賞受賞コメント(大植崇)

 この度は、2022年度JABCTダイバーシティ推進研究ポスター賞を賜り、誠にありがとうございます。選考委員会の先生方には、心から感謝申し上げます。

 受賞した研究では、大学生を対象としたダイバーシティ促進のための認知行動モデルの検討したところ、「ダイバーシティ風土」⇒「不合理な信念」⇒「主観的健康感」のモデルの適合度が高かく、ダイバーシティ促進に対する認知行動療法は、認知の歪みを修正する、認知再構成法などの介入で、大学生の主観的健康感が向上する可能性が示唆されました。
これからダイバーシティ・インク―ションの実現のためにも、認知行動療法ができることが多いと思っています。今後、本モデルに基づいた介入プログラムを作成し、介入研究で、ダイバーシティ促進に対する認知行動療法の有効性を検討する所存です。

 本研究は、兵庫大学プロジェクト経費で行われた研究です。本研究にご協力いただきました、兵庫大学の皆様に感謝申し上げます。また、本研究に、貴重なご意見をいただきました、日本認知・行動療法学会 ダイバーシティ推進委員会の先生方に深く感謝申し上げます。

 今回の受賞は、皆様の賜物であると捉え、今後も継続して、「ダイバーシティ」に関する研究・実践に取り組んでいけるよう、より一層の精進を重ねていく所存です。今後も、皆様方のより一層のご指導ご協力を賜ります様、宜しくお願い致します。

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